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2024/03/29 20:21 |
視覚障害者からのメッセージ



先日、教育テレビの福祉の番組枠で、この本を書いた松永信也さんのドキュメンタリーをしていました。
約30分間、私はこの番組に見入ってたのですが、時々ナレーションの声で松永さんのエッセイの一文が読み上げられるのです。
それを聞き、私は思い出しました。

「ああ、そういえば去年お金がなかったから、就職してお金が出来たら買いますって言ったんだっけな。」

正確には、点字でメッセージを贈ったのですが。

去年まで私は医療系の専門学校に通っていました。
眼科専攻の職種で、そこに松永さんは特別講師としてやってきました。
この方の授業は一日だけの、人間の一生にすればほんのごくわずかな時間だったのですが、私にはその一生を越えるほどの、色濃い180分になりました。

目の見えないということが、どれほど私達と変りのないことなのか、どれほど変りのあることなのかを身をもって教えてくれたのです。

冗談も交えて、たくさんの話をてもらいました。
心温まる話や可笑しい話。
けれど印象に残るのは、切なくなるような、心の寂しい話です。
どれだけ日本が心の寂しい社会であるのか、松永さんは優しいくらいに文中で語っています。

決して攻めるわけではない、決して貶めているわけではないのだけれど、同じ社会で暮らしている人間として、恥ずかしくなるような、心切なくなるような、そういう思いに駆られてしまいます。


私が受けた授業そのものが、この本には書かれています。
障害者に声をかけて、お手伝いすることが、何の恥ずかしいことでもない、ごく当たり前のことで、声をかけることに何の勇気も要らないということがこの本を読めば分かってもらえると思っています。
バリアフリーと言うけれども、心のバリアフリーがなければ、何もかもが意味を成さないのではないかなと思います。


松永さんの授業で聞いた話にて。
松永さんはもっぱら京都駅を使うそうですが、「困っている時に声をかけてくれる言葉はどういう言葉やと思う?」と私達に質問します。
「お手伝いしましょうか?」
「違うよ。」
「何か困ってることありますか?」
「ううん。」
「手引きしましょうか?」
「違うよ。」
誰も言い当てることはできませんでした。私は、もしかして・・・という思いもあったのですが、そのまま松永さんの話を聞いていました。

「分からんやろう。答えはね、『May I help you?』やねん。」

教室内になるほど~。という溜息が漏れましたが、きっと皆一様に心もとない恥ずかしい気分であったと思います。
だって私もとても恥ずかしかったから。
観光地の京都だって、外国人は多かろうと圧倒的に日本人が多いはずなのに、声をかけてくるのは外国人が大多数だなんて。
向こうの人はそういうことが当たり前のことでできるんだなって事。
当たり前のことが出来ない日本は、向こうの人たちにはどういうふうに写ってるんだろうなって。

そういう話がたくさん詰まった一冊です。
書店でお見かけの際は、ぜひ手にとって見てみてくださいな。
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2006/12/23 14:11 | Comments(0) | TrackBack() | レビュー

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